法改正で利用促進なるか 認定NPO法人制度 2012年03月15日

昨年6月、NPO法と寄付税制が大きく改正されたことで、今年4月1日から認定NPO法人にかかる制度が変化します。

認定NPO法人制度とは?
認定NPO法人制度は、NPO法人への寄附を促すことにより、NPO法人の活動を支援するために設けられている税制上の措置です。一定の要件を満たし認定NPO法人に認められると、通常のNPO法人と違い、認定NPO法人に対して寄附すると、寄附をする人の税負担が軽減されるようになっており、通常のNPO法人よりも寄付を受けやすい環境になります。

これまでの認定制度
NPO法人の活動支援を目的とした認定制度でしたが、認定を受けるためには運営組織や経理、事業活動の内容が適正であるかなど、様々なハードルがありました。中でも高いハードルだったのが、PST(=パブリック・サポート・テスト)と呼ばれるもので、認定にはそのNPO法人が広く一般から支持されているかどうかを判断する基準を満たしている必要がありました。この判断は、「寄付が多い団体ほど支持率が高い」と前提し、収入のうちに寄付の占める割合で計算されていたため、税制優遇を受けることで寄付を集めやすくするための認定制度であるにもかかわらず、多額の寄付を集めた実績がないと認定を受けられないという問題もあり、これまで全国のNPO法人の内認定NPO法人は約0.5%と、制度の利用が進みませんでした。

PST要件緩和と仮認定制度の導入
こうした問題点を踏まえ、認定制度による寄付の促進をより積極的に実施するため、今年4月1日から次のような免除、緩和措置がなされることになりました。

①絶対値基準の導入
PSTはこれまで収入に対する割合計算でしたが、これに加え「年3,000円以上の寄付者数が年平均100人以上」という絶対値での判定が選択できるようになり、具体的にいくら寄付金を集めたらよいのかが明確になりました。

②仮認定制度の導入
そうはいっても、設立から年数の浅い法人にとっては、寄付を集めることそれ自体が難しいという問題もあります。そこで、寄付がほとんどない法人にも先に仮認定を与え、仮認定取得期間中に寄付を集めれば本認定に移行できるという仮認定制度が導入されました。

「もったいない」で需要拡大 リサイクルビジネス 2012年03月14日

MOTTAINAIの浸透と環境ビジネス
2004年に環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したケニア人女性ワンガリ・マータイ氏が、2005年に来日した際「もったいない」という日本語に非常に感銘を受けたことから、この美しい日本語を環境を守る世界共通語「MOTTAINAI」として広めることを提唱しました。提唱から6年以上の月日が経ちましたが、ここ数年の不景気による所得減、さらには昨年の東日本大震災がきっかけとなり、今再び「もったいない」の精神が浸透を見せています。

リサイクル業界の拡大
こうした人々の関心や社会的な動向も追い風となり、現在リサイクル業界の国内市場規模は約1兆円とも言われています。個人でも開業しやすい点、また比較的少資金で独立できるということから、起業分野としても注目されており、今後ますますの業界拡大が見込まれます。

リサイクルビジネスと古物商
一般的なリサイクルビジネスでは、他人が不要となったもの(=古物)を引き取り販売することになりますので、ビジネスを始めるためには営業所を管轄する都道府県の公安委員会(窓口は警察署)へ古物商許可申請をし、営業許可を取る必要があります。店頭で販売する場合だけでなく、インターネットオークションを利用して販売する場合も、事実上業として行っているのであれば同様の許可を申請する必要があります。申請から許可又は不許可の通知が来るまでには1か月~2か月程の時間がかかり、許可が下りるまでは営業はもちろん買い受けや仕入れを行うこともできませんので注意が必要です。

許可取得後も注意が必要
許可を取得し、無事営業が開始した後も注意が必要です。古物商の営業許可は、許可を定期的に更新する必要はありませんが、許可者の氏名や住所、あるいは法人の代表者の氏名や住所など、許可の内容に変更が生じた場合には、変更があった日から14日以内(登記事項証明書を添付しなければならない変更の場合は20日以内)に書換申請・変更届出を行わなくてはなりません。各都道府県により若干取り扱いは異なりますが、指定された日数内に届出をしなかった場合は、遅延理由書の提出が求められます。また、遅延が度重なると、事業所への立ち入り検査や営業許可の取り消しにつながる場合もあります。

確認的規定としての改正税法 2012年03月13日

予測に反して確認規定になった その1
個人の受け取る保険金が、会社契約で、保険料の半分が会社負担であった場合、個人の一時所得の計算上、その会社負担保険料を必要経費として控除できるか、否か?
この問題での訴訟で、国の敗訴が濃厚だったので、平成23年度12月税制改正で、会社負担分は控除不可と政令を変えました。
しかし、予想に反して、最高裁では逆転勝訴になったので、不必要な政令改正をしたことになりましたので、改正は新たな意味を持つことのない確認規定を設けたことになりました。

更なる敗訴の前の確認的税法規改正その2
「記載された金額を限度とする」との税法規定は、所得税法の外国税額控除、地方税法の利子割額控除、法人税法の受取配当等益金不算入、寄附金損金不算入、所得税額控除、外国税額控除等々にあります。
この規定を硬直的に解釈せずに、本来なら記載したであろう金額、でよいのではないか、というテーマでの訴訟が起き、最高裁はたてつづけに硬直解釈を排し、「記載された」の規定を「記載すべきであった」の意味に解する判決を出しました。
これで、「記載限度額要件」とか「当初申告要件」とか言われる規定は、悉く意味を持たないことになりました。
例えば、後から、みなし配当や寄附金の認定を受けたとかという場合でも、「記載限度額要件」とか「当初申告要件」により、益金不算入や損金算入が不可とされても、訴訟に至れば救済されることになりました。

確認規定を超えた見直し
平成23年度12月税制改正では、これらの訴訟の結果を承けてのことながら、相続税や贈与税の配偶者の控除規定にまで及ぶ「記載限度額要件」と「当初申告要件」の廃止に近い見直しが行われました。
措置法関係の規定と、減価償却や引当金などの規定を除いては、徹底した見直しになっています。
なお、平成23年12月改正の解説では、「当初申告要件」と「記載限度額要件」に係る改正の適用開始につき、改正法公布後のこととしているものが多いけれど、この改正も全部ではないものの、中心部分は訴訟で解釈が変更されたことを確認することを規定化したものなので、公布日以前の申告にも適用があるものが多い、と言えます。

厚生年金基金のAIJ事件 2012年03月12日

年金消失 預けた資金はどこへ?
運用を委託した企業年金資産約2000億円の大半が消失していたAIJ投資顧問会社の問題が大きく報じられています。老後の支えとなる年金が目減りしてしまうかもしれないという事態に波紋が広がっています。
厚生年金基金の年金資産は公的年金に上乗せする積立金です。厚生年金基金は中小企業の同業種の企業が集まって作っている「総合型」基金が全体の7割強を占めています。積立額の不足が発生すると母体企業は年金給付に必要な不足分を穴埋めしなければなりませんが総合型は経営体力が乏しい為問題解決が容易ではありません。将来給付の減額や保険料の値上げ等が起こるかもしれません。

高い保証利回りが重荷に
AIJが高利回りをうたっていたのは基金から預かったお金を租税回避地(本国の監視の目が届かない為、税金が非常に安い地域、タックスヘイブン)のファンドに投資していたからだと言います。運用の失敗か流用か監視委も実態把握が難しいようです。

そもそも厚生年金基金が高い収益のありそうなところに資金を預けたのは、基金の年利は5.5%で運用する事となっているからです。今の経済状況では5.5%で運用するところが無いのです。いまだに高度経済成長期の利率で給付すれば、高齢化が進む中、積み立て不足が増えるのは当然です。現在の利率は高い為、AIJに預けていた基金だけの問題ではないと言えるでしょう。

AIJの委託契約基金は中小企業が9割
中小企業がコツコツと積み立てをしてきた年金資金が消失した事態はこれからの年金受給者の生活にも影響が及びそうです。AIJに委託していた基金は94基金で9割が中小企業の集まっている総合型基金です。
資金力のある大企業等の単独型基金は厚生年金の代行返上で積立不足を補い、基金を解散して、利率を下げた上で確定給付企業年金や確定拠出年金に移行しています。以前は1900もあった厚生年金基金は現在595基金となっています。積立不足があると厚生年金資金を切り離す事もできず財政難の基金は高利回りの投資に走りやすくなってしまうという悪循環があります。
自社が基金に加入している時は年1回以上、「企業年金便り」等で積立金の状況を開示していますので、確認してみるのが良いでしょう。

一般労働者派遣と特定労働者派遣 2012年03月09日

二つの派遣事業
労働者派遣事業には一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業の二種類があります。
一般労働者派遣事業とは、いわゆる登録型の派遣であり、予め登録された求職者に、派遣先が見つかった場合、その期間労働契約を締結して派遣する形態です。労働者の確実な雇用保障がないため、事業者に対し厳しい要件が課せられており、事業を行うには厚生労働大臣による許可を得なければなりません。これに対し特定労働者派遣事業は、自社の正社員だけを派遣する形態です。一般派遣と比較し雇用が安定していますので、事業を行うには届出をすることで足ります。

一般労働者派遣事業の注意点
①派遣元の注意点
一般労働者派遣事業は、スタッフの派遣先が決まった場合に派遣元と派遣社員とで雇用契約を結び、労働基準法や労働安全衛生法などの労働関係法については原則的に派遣元が責任を負います。しかし、実際の業務では指揮命令をするのが派遣先になりますので、派遣元と派遣先との間で責任があいまいになりトラブルが生じることも多くあります。こうした事態を避けるためにも、派遣先は就業規則の整備や派遣先・派遣社員との綿密な情報確認が必要です。
②派遣先の注意点
派遣先は、派遣社員が派遣元と締結している雇用契約の内容を超えて就業させることはできません。また、労働関係法については原則派遣元が責任を負うと述べましたが、派遣先の安全配慮に落ち度があれば、派遣先が責任を負うこともあります。

特定労働者派遣事業の注意点
①派遣元の注意点
特定労働者派遣事業の場合、派遣期間が年単位になることも多く、派遣終了後自社に戻る場所がない、あるいは戻っても社員のモチベーションが下がってしまったという例もあります。派遣元としては、派遣期間の終了と同時に次の派遣先を用意しておく、研修期間を設けスキルアップに繋げる、また関与が少なくなる派遣期間中には自社に対する帰属意識をしっかりと持たせるなど、社員に対する配慮が重要な課題です。
②派遣先の注意点
一般労働者派遣同様の注意点の他、派遣社員が派遣元の正社員ということもあり、派遣先との関係からトラブル発生時に社員がクレームを表に出しにくいという一面もあります。積極的にコミュニケーションを取るなどして、メンタルケアにも努めたいところです。

定型労働者の職務遂行能力 2012年03月08日

定型労働者とは製造・オフィスの事務・保安及び警備・コンピュータ操作・店内販売などの定型的職務に従事する労働者です。  基本的に成果物があらかじめ決められており、標準的作業手順・方法・判断基準に従って職務を遂行し、製品やサービスなどの成果物をアウトプットすることが求められます。

従ってその職務遂行能力は、作業手順・方法を正確に効率よく実施できる能力で、 言い換えれば、正確に効率よく(スピーディーに)実施できる習熟の度合が成果に結びつく能力と言えましょう。

職務遂行能力の特質
職務遂行能力は、その能力を持っている(保有能力と言う。)だけでは評価に値せず、実際に職務に生かす(発揮能力と言う。)ことによって評価されます。
定型労働者の職務遂行能力は、例えばカメラの組み立て作業における作業手順・方法のように、技能の正確性・スピードが製品の出来高・品質に影響しますから、作業に必要な技能の習熟度合が重要になります。
また、店内の物品販売職であれば、商品知識・お客様のニーズをつかむ能力・お客様に好かれる接客トークなどの習熟度合が販売成果に結びつきます。
社内の同じ職場で複数の定型労働者が働いている場合が多く、その場合は個々の労働者の職務遂行能力・習熟の度合だけに注目するのでなく、チーム内・チーム間の健全な競争により、職務遂行発揮能力の向上とそれに伴う生産性・販売高の向上など、業績の向上を競わせるのが上策と言えます。

経営者に創意工夫の勧め
このような職務遂行能力・業績向上にねらいを置いた経営者のマネジメントは次の考え方と方法で実施することをお勧めします。

1.基本的な考え方
働き、学び、楽しむことが渾然一体となった職場づくり
2.具体的施策
(1) 技能習得・習熟と業績を点数評価してチーム間で競い合う“仕事のゲーム化”
(2)月間・期間・年度など定期的な公開の成績発表、表彰
(3)全チームのゲーム作戦・達成目標、成果と反省の発表

受動喫煙防止対策助成金の創設 2012年03月07日

受動喫煙防止の拡大をはかる
愛煙家にとって、最近は公共の場では喫煙の場所が狭まり、タバコを吸いにくい状況になってきていますが職場においての喫煙も厚労省が平成4年から快適職場形成を進めていて分煙する企業も増えてきました。
平成23年9月には飲食店やホテル、旅館等の顧客が喫煙できる事をサービスに含めて提供している場所についても禁煙や分煙が難しい場合には当分の間、換気などの措置を採ることが適当と言う対策が示されています。

受動喫煙防止対策工事にかかる助成金
この助成金は客が喫煙できる事をサービスに含めて提供している旅館、ホテル、飲食店を営む中小企業事業主に対し、喫煙室の設置等の対策工事にかかる費用を助成するもので労災保険法の事業の一環で平成23年10月に創設されました。

支給要件の概要
①労災保険の適用事業主である事
②飲食店、喫茶店、旅館等を経営する事業主である事
③防止対策を記載した計画書を作成し、これを都道府県労働局長に届け出る事
④上記②の営業を行う事業場で室内又はこれに準ずる環境において、客が喫煙できる事を含めたサービスを提供している場合、作成した計画書に基づき、一定の基準を満たす喫煙室等を設置する措置を講じる事
⑤喫煙室等設置の際の実施状況が明らかにされる書類が整備されている事

工事計画書の提出と受給額
受給するには「受動喫煙防止対策助成金関係工事計画」を策定し認定を受けます。
計画書には工事前の写真や設置場所の仕様、換気扇などの設備、利用可能な人数、工事見積書、その他喫煙室などの詳細資料等が必要です。喫煙室設置以外の措置であっても必要換気量の設計がなされている必要があります。
受給額はこの工事にかかる費用の4分の1で上限は二百万円となっています。
受動喫煙対策は飲食店にとっても頭の痛い問題かもしれません。今後対策工事を計画するのであれば利用を検討されると良いでしょう。

雑損控除での人為災害 2012年03月06日

雑損控除の対象事由
雑損控除の損害の原因は、次のいずれかの場合に限られます。
(1) 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
(2) 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
(3) 害虫などの生物による異常な災害
(4) 盗難  (5) 横領

人為による異常な災害の事例・姉歯事件
構造計算書偽装の姉歯事件の被害物件である分譲マンション居住者に対しは、所得税・個人住民税について雑損控除が適用できることとされています。
政府が入居者に対し自主退去の勧告や使用禁止命令等を行ったこと、検査機関が見過ごしたこと、居住者が偽装に気付くことは極めて困難、などの諸般の事情を考慮して、「人為による異常な災害」に該当すると判断されました。

ラジウム撤去処分費用は?
東京都世田谷区で相次いで発見された“出所不明”のラジウム入りの瓶、社団法人「日本アイソトープ協会」が一時的に預かっているということらしいが、撤去や処分に、場合によっては数千万円もの費用がかかる恐れがあるといわれています。
もし個人負担があるとしたら多分、人為による異常な災害損失になるのでしょう。

アスベスト除去費用は?
アスベスト使用に係る建築規制は平成18年からで、また大気汚染防止法は古い建物を解体するに際しての周辺への飛散や解体労働者の曝露を防止するべく、平成8年以降規制が強化されてきました。
その結果、アスベスト使用物件と認定されると、アスベスト除去には、特別な申請等の手続き、専門の業者による工事・検査が必要となり、通常解体費の倍近い費用が追加でかかるようになっています。
このアスベスト除去費用は人為による異常な災害損失に該当するでしょうか。

訴訟になっているアスベスト災害
アスベスト除去費用を雑損控除の対象として所得税の申告をした事例があります。
税務署の容認するところとならず、現在訴訟中ですが、地裁では納税者敗訴となり、高裁で争っています。
構造計算書偽装の姉歯事件との比較において判断すると、容認の余地があるようにも思えます。

修正申告しても争える 2012年03月05日

争えないという理由
「修正申告をすると争えない」と言われることが多いのですが、それは修正申告が自らその税額を確定する行為だから、ということに由来するものではありません。
当初申告をして、さらに修正申告をして、その後、減額更正の請求をして、税務署長により減額更正処分が拒否されたら、当然に争えます。
「争えない」と一般に言われる理由は、更正の請求に期間制限があり、期間が経過してしまっていることが多いからです。

不条理の制度欠陥の典型例
所得税や法人税の事案で、買換え等をめぐり修正申告が義務付けられていて、これを故意に過怠すると「五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金」に処されることになります。
もし、税務係争中だったら、修正申告書を提出すると、係争の対象の申告や処分が修正申告に吸収され消滅し、「訴えの利益」がないとして原告適格を喪失し、争う資格を失います。
ただし、修正申告後直ちに更正の請求を出せる期間的余裕があれば、振り出しには戻りますが、争いを続けることはできます。
場合によっては、裁判所の指揮の下での審理の併合や訴えの変更が可能かもしれません。
しかし、大抵の場合は、罰を受けたくないとして修正申告書を提出したが最後、更正の請求のできる期間はとっくに経過していて、係争の継続は不可能ということになります。

23年12月改正による解決
12月2日公布の改正税法によると、更正の請求期間は5年(贈与税及び移転価格税制に係る法人税については6年、法人税の純損失等の金額に係るものは9年)に延長されました。
改正前の期間制限は1年でした。この圧倒的な短さが、「修正申告をすると争えない」ことの元凶だったのですが、5年に延びたことにより、争いの継続・開始が実質的に可能になりました。
相続の分割の確定により、相続税の修正申告・更正の請求をすることになる場合も、当局と係争中の場合には不条理な結末をもたらしていました。ウッカリ修正での悲劇のドラマもありました。これらの不条理・悲劇も12月改正で相当程度に解決されたと言えます。

諸手当の整理 2012年03月02日

賃金項目の中に住宅手当・家族手当・安全手当など一般的な項目のほかに様々な手当があり、過去の経緯があって、従業員の既得権となっており、経営者にとっては、「なくしたいのだが、なかなか手がつけられない。」と言う場合があります。また、反対に本給に入れずに手当の新設または増額で従業員の意欲向上を図りたい場合もあります。
賃金制度は一般に10~20年程度の期間ごとに、採用の有利性確保や、経営計画目標達成、モラールの維持・向上などのために、外部環境を考慮に入れて改定することが必要ですが、諸手当の整理もその一環として整理することが得策です。

諸手当整理の考え方
賃金は労働時間とともに最も重要な労働契約の項目ですから、その一部分である手当についても、例えば次のようにしっかりした考え方・方法で整理する必要があります。

手当の整理に関する会社の方針例
「会社への貢献に従って適正に賃金を支払う。」と言う賃金改定方針のもとで、賃金体系、賃金配分を見直す一環として手当を見直す。

  1. 会社への貢献とは直接関係のない属人的要素に基づく手当を原則的に廃止する。
  2. 会社の業績向上のための能力開発に役立つ等、積極的意味がある場合は手当の新設、又は増額を検討する。


方針に基づいて現状の手当項目ごとに、廃止・継続・増額とその理由を検討します。例えば、

  1. 過去に特別な事情があって設定され、現状では意味が極めて薄い手当、過去の経営者が温情的な考え方で設定し、現在の会社の賃金に関する方針と合わない手当は廃止します。
  2. 逆に本給に含まれず、時間外手当の算定基礎にならない手当を新設することで、業績向上に役立つ場合は新設又は増額します。

整理の実務的留意点
減額の場合には、単純に減額することによる既得権の侵害、モラールの低下が逆効果になることがあり、「廃止又は減額する手当」を「新設又は増額する手当」と相殺する、減額分を他の賃金項目に振り替える等、納得が得られる改定方法をとることにより、無用なトラブルを防止することが肝要です。